身近な野菜であるにんじんの栄養素を無駄なくいただくにはどのような調理方法がよいのでしょうか?普段よく使う野菜だからこそ、うまくつかいこなしたいですよね。この記事では、にんじんの栄養効果が高まる調理のコツや疑問を管理栄養士が解説します!
この記事を書いた人
合同会社HITOOMOI
2019年1月に設立したフードコーディネーターと管理栄養士が在籍する料理研究家の会社。レシピの企画・開発から撮影、スタイリング、栄養計算、商品開発を中心に事業を行う。ミッションは「好きな人を想う手作り料理で幸せな食卓づくりを。」
侮れないにんじんの栄養効果!
スーパーなどで年中見かけることの多いにんじんは、料理に彩りを添えてくれる身近な野菜のひとつですよね。にんじんには一体どのような栄養効果が含まれているのでしょうか?詳しく解説していきます。
毎日を健康に過ごしたい!免疫力UPしたい方に
にんじんには強い抗酸化作用を持つβカロテンが豊富に含まれています。βカロテンは体内に溜まった活性酸素を除去してくれるはたらきがあります。活性酸素は体内の物質を酸化させ、過剰に発生すると動脈硬化やがん、心筋梗塞などの多くの生活習慣病の原因になるとされています。
毎日を健康に過ごしたい方、免疫力をあげたい方に、にんじんはおすすめです。
むくみが気になる方
足や顔などむくみが気になる方や塩分の摂りすぎが心配な方にも、にんじんはおすすめな食材です。
にんじんにはカリウムという栄養成分が含まれており、身体の老廃物を流してむくみをとってくれるはたらきがあります。塩分の摂りすぎによって引き起こされる高血圧の予防にも効果が期待できます。
美肌を保ちたい!!美容成分も豊富
にんじんに含まれているαカロテンやβカロテンは体内で必要な分だけビタミンAへと変換され、肌や髪の健康を保つはたらきがあります。その他にも腸内環境を整えてくれるはたらきのある食物繊維も豊富に含まれています。
にんじんの栄養、逃してしまう調理方法はズバリ「茹でる」
にんじんに豊富に含まれているβカロテンは水に溶け出してしまう性質があり、特に茹でると湯の中へ流出してしまうので注意が必要です。切り口が大きく、茹で時間が長ければ長いほどカリウムの溶出は大きくなり、減少率は20~50%ほどといわれています。
茹でる調理方法ではスープや煮込み料理など煮汁ごと一緒にいただきましょう。栄養を余すことなく摂取できますよ。
もう栄養を無駄にしない!にんじんのベストな調理法トップ3
にんじんはどのようなに調理すると栄養を無駄にしないのでしょうか。ここからはにんじんのベストな調理法トップ3を解説していきます。
皮ごと食べる
にんじんは表面の皮に多くβカロテンが含まれています。皮を剥いて調理すると、せっかくの栄養を失う原因に…。
通常にんじんは、収穫した時に軽く洗浄されていて、農薬などがついた表皮は剥かれています。調理の際は皮を剥かなくても、よく洗うことで美味しく安全に食べられるんです。
しかし、皮ごと調理すると見栄えや食感が悪くなることも…。気になる方は、ごく薄く皮を剥くか、千切りやみじん切りなどする際に皮を利用する、など工夫することでカバーしましょう。
すりおろす
栄養の吸収率はすりおろすことでより効率アップ。もみじおろしやジュースにするとよいでしょう。
しかしにんじんには、ビタミンCを破壊するアスコルビナーゼという酵素が含まれています。この酵素はすりおろして時間が経つにつれて、よりビタミンCを破壊してしまいます。
生で食べる際は直前にすりおろし、レモン汁や酢などの酸を加えることでビタミンCの損失を抑えることが出来ます。
油で調理する・油と一緒に食べる
にんじんに含まれているカロテンは油に溶けやすく、水に溶けにくい性質を持った脂溶性なので油との相性がgood。
ごま油の香りが香るきんぴらや、蒸してオイルをかけるサラダなど、油を使って調理をすることでにんじんのカロテンを無駄なくいただけます!
にんじんを冷凍すると栄養が増えるという研究結果も!
「日本食品標準成分表2015(七訂)」ではにんじんの冷凍に関するデータがあり、βカロテンは生のにんじんと比べると30%ほど増えるとされています。また茹でてから冷凍することで、40%増えています。
その他の栄養素についてはあまり変化がないため、にんじんを冷凍する際は用途によって生のまま冷凍するか、下茹でしたから冷凍するか使い分けしましょう。下茹してから冷凍する際は食感を保ったりβカロテンの流出を少しでも抑えるために短時間で茹でるのがコツです。
正しく冷凍することで栄養価を保ったまま保存することができます。
にんじんの葉っぱは栄養満点!ぜひとも捨てずに食べてみて
実はにんじんの葉には、根以上に栄養がたくさん詰まっています。
むくみをとってくれるカリウムは約2倍、骨の健康に欠かせないカルシウムは約3倍、他にも鉄やビタミンK、ビタミンB2、葉酸などさまざまな栄養素が根よりも多いのです。そうとなるとにんじんの葉も上手く活用していきたいですよね。
にんじんの葉は傷みやすいので、根と葉は切り離して保存しましょう。湿らせた新聞などにくるみ、ポリ袋に入れて冷蔵庫に立てて入れることで長持ちします。
にんじんの葉を冷凍する際は、さっと下茹でしてから水気をよく切って、密閉袋に入れて冷凍しましょう。味噌汁の具にしたり、かき揚げなどにするのがおすすめです。
白いヒゲが生えたにんじん、びっくりするけど食べても大丈夫
長い間生のままで保存していると白いヒゲが生えてくることがあります。このヒゲはにんじんが成長するために生えてくるものですので、食べても問題はありません。気になる方は取り除いていただきましょう。
HITOOMOIオリジナルレシピ!豚肉のチーズ野菜ロール
今回はにんじんを使った低糖質レシピをご紹介します。カロテンは油との相性が良いので、油で調理する豚肉のチーズ野菜ロールをぜひお試しください。
栄養満点なにんじんを美味しくいただこう!
いかがでしたか?にんじんに含まれるβカロテンには私たちに嬉しい栄養効果がたくさんあることがわかりました。栄養を無駄にしない調理方法で、美味しくにんじんをいただきましょう!
- 参考文献:食材の栄養素を最大限に引き出す便利帖(永岡書店)
参考:全て2021.2.10参照 - 独立行政法人農畜産業振興機構「野菜ブック」にんじん
にんじん 人参 産地 野菜 栄養 機能性 調理 (alic.go.jp) - 農林水産省 e-ヘルスネット カロテノイド
カロテノイド | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp) - 厚生労働省 日本人の摂取基準2020年版各論
01. 表紙 (mhlw.go.jp) - 農林水産省 特集食べ物の「ムダ」をなくそう
特集 食べものの「ムダ」をなくそう(6):農林水産省 (maff.go.jp) - 文部科学省 食品成分データベース 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
検索結果表示 (mext.go.jp)