暑い季節にさっぱりいただける夏野菜の「きゅうり」。水分が多いので、あまり栄養価は期待できないのでは…と思ったら大間違い!じつは、さまざまな栄養成分を隠し持っている野菜だったのです。この記事では、気になるきゅうりの栄養のアレコレを、食のプロである管理栄養士にバシッと回答してもらいました。
この記事を書いた人
合同会社HITOOMOI
2019年1月に設立したフードコーディネーターと管理栄養士が在籍する料理研究家の会社。レシピの企画・開発から撮影、スタイリング、栄養計算、商品開発を中心に事業を行う。ミッションは「好きな人を想う手作り料理で幸せな食卓づくりを。」
きゅうりの基礎知識
きゅうりはウリ科キュウリ属の野菜で、インドが原産国です。
一般的に流通している品種は、白イボきゅうりと呼ばれるもので、旬は6〜9月になります。反対に、黒イボきゅうりはイボが黒く、春から初夏にかけて出てくる早生の品種。その他、石川県の特産である加賀太きゅうりや奈良県の大和三尺といった種類も有名です。
食卓に馴染み深いきゅうりですが、「きゅうりは栄養が少ない」と聞いたことはありませんか?
実は、ギネス世界記録で「Least calorific fruit(カロリーがもっとも低い果実)」に認定されています。登録名の「カロリー」が「栄養」と誤解釈されていますが、実際はいくつかの栄養素が含まれているのです。
管理栄養士が回答!きゅうりの栄養価・効果とは
きゅうりには、栄養素がないというイメージが強いかもしれませんが、実はいろんな栄養素が含まれています。
きゅうりには意外と栄養素がある!
・カリウム:200mg(玉ねぎの約1.3倍)
・β-カロテン当量 :330μg(キャベツの約6.6倍)
・ビタミンK:34μg(ピーマンの約1.7倍)
・ビタミンC:14mg(にんじんの約2.3倍)
参考:文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂) きゅうり 果実 生
エネルギー量は低いのですが、さまざま働きをしてくれる栄養素が含まれています。ここからは、きゅうりの栄養と健康効果について詳しくご紹介します。
きゅうりの栄養・効果①むくみ解消
きゅうりにはカリウムが多く含まれています。カリウムは塩分(ナトリウム)を排出する役割があり、利尿作用が期待できます。
体内の水分量を調整してくれるので、むくみ解消効果が期待できるんです。
きゅうりの栄養・効果②美容・健康をサポート
本来、緑黄色野菜に含まれる「β-カロテン」ですが、淡色野菜のきゅうりにも含まれているのがポイントです。
体内でビタミンAの作用をする働きがあるβ-カロテン。不足すると、皮膚の代謝や粘膜を保護する働きが低下するので、肌をキレイに保つためにもしっかり摂りたい栄養素です。
また、食物繊維も含まれています。食物繊維には、整腸作用や血糖値の上昇を抑える働きがあります。
このようなことから、きゅうりには美容や健康をサポートしてくれる栄養素が含まれているのです!
きゅうりの栄養・効果③脂肪燃焼を促進
きゅうりには、ホスホリパーゼという酵素が含まれています。ホスホリパーゼは、脂質分解の働きがあると言われています(※1)。脂質の多い食事をしている方は、ぜひきゅうりを意識して取り入れてみてください。
きゅうりの栄養・効果④身体を冷やす
代表的な夏野菜のひとつでもあるきゅうり。夏野菜には、身体を冷やしてくれる効果があるとされています。ぜひ料理にきゅうりをプラスして、夏場にほてりやすい身体を冷やすのに役立ててみて。
また、きゅうりには水分が多く含まれるので、汗で流れ出てしまった水分を補給することにも一役買ってくれますよ。
きゅうりに含まれる栄養素・成分一覧表
食品100gあたり | 生 |
---|---|
エネルギー(kcal) | 14 |
水分(g) | 95.4 |
たんぱく質(g) | 1.0 |
脂質(g) | 0.1 |
炭水化物(g) | 3.0 |
食物繊維(g) | 1.1 |
ナトリウム(mg) | 1 |
カリウム(mg) | 200 |
カルシウム(mg) | 26 |
マグネシウム(mg) | 15 |
リン(mg) | 36 |
鉄(mg) | 0.3 |
亜鉛(mg) | 0.2 |
β-カロテン当量(μg) | 330 |
レチノール活性当量(μg) | 28 |
α-トコフェロール(mg) | 0.3 |
ビタミンK(μg) | 34 |
ビタミンB1(mg) | 0.03 |
ビタミンB2(mg) | 0.03 |
ナイアシン当量(mg) | 0.4 |
ビタミンB6(mg) | 0.05 |
葉酸(μg) | 25 |
ビタミンC(mg) | 14 |
きゅうりを冷凍したら栄養はダウンする?
きゅうりを冷凍すると栄養素がどうなるのか気になる方も多いのではないでしょうか?
きゅうりを冷凍して流水解凍する場合、水溶性のビタミンなどは流れ出てしまう可能性があります。しかし、冷凍することで極端に栄養素が減るというデータはありません。あまり気にしなくても大丈夫でしょう。
きゅうりを食べる時の注意点
きゅうりにもアレルギー反応や食べ過ぎによる中毒症状が稀に見られます。気になる内容があればチェックしてみてください。
きゅうりのアレルギーについて
野菜や果物を生でそのまま食べた際、唇・口・喉などにイガイガ感やかゆみ・腫れなどアレルギー症状を引き起こすケースがあります。
これは「口腔アレルギー症候群」といい、きゅうりもこのアレルギー症状が出る可能性があるのです。何かしら口の中に違和感をおぼえたら、自己判断ではなく早めに病院を診てもらいましょう。
食べすぎると中毒症状がでることも
きゅうりなどウリ科の野菜で、稀に中毒症状が出るケースも。その原因は、ステロイドの一種で「ククルビタシン類」という苦味成分によって引き起こされます。
腹痛や下痢、嘔吐の症状が出るので、食べて異変を感じたらすぐに病院へ行きましょう。
管理栄養士が教える!きゅうりの栄養価を効果的に摂取する方法
きゅうりは生で食べると栄養価を逃さない
ダイエット中の方は、とくに生できゅうりを食べるのがオススメ。
きゅうりがもつ酵素の中には、脂肪燃焼効果のあるホスホリパーゼが含まれているといわれています。生で食べる理由は、この酵素がタンパク質でできており、熱に弱いためです。
また、ビタミンCなどの水溶性ビタミンは、ゆでてしまうと栄養素が水に流れ出てしまいます。
このような理由から、きゅうりは生で食べることで、含まれている栄養素をしっかり摂取できるのです。
きゅうりの漬けもので栄養価を増やそう!
きゅうりを食べるなら、少し手間をかけて「ぬか漬け」にするものオススメです!理由は、きゅうりを漬ける米ぬかによって栄養価がUPするから。
米ぬかには、エネルギー代謝をサポートする栄養素「ビタミンB1」が豊富で、漬けている間にきゅうりにその栄養が浸み込みます。
ただし、塩分の量も上がるので食べ過ぎには注意しましょうね。
管理栄養士も実践!きゅうりの保存方法はコレ!
きゅうりが詰め合わせで多く買えたり、1回の調理で使い切らないケースもありますよね。そんなときは、正しい方法で保存するのがポイント。栄養を逃さず上手に保存できる方法をご紹介します。
きゅうりを「生のまま保存する」コツ
きゅうりをそのまま生で保存する際のコツは、冷蔵庫の野菜室で保存することです。夏野菜であるきゅうりは、冷えすぎるとかえって傷んでしまうため、野菜室に入れましょう。
洗ってある場合は水分をしっかり拭き取り、1本ずつキッチンペーパーで包んでください。
1週間ほどは持ちますが、早めに食べることをオススメします。
きゅうりを「冷凍保存」するコツ
きゅうりの冷凍保存は、下処理の調理が何もないのでとても簡単!
買ってきたきゅうりを水でよく洗い、ペーパータオルで水分をしっかり拭き取ってください。1本ずつラップに包んで保存袋に入れたら、約3週間は保存可能です。
冷凍きゅうりを美味しく食べるコツは「解凍時」にあります。流水解凍する際に、解凍しすぎると食感が悪くなるので注意して。半解凍状態にしてきゅうりの食感を楽しんでみてください。
HITOOMOIオリジナル!きゅうりを使った低カロリー・低脂質レシピ
今回は、きゅうりを使った低カロリー・低脂質レシピをご紹介します。
ダイエットしている方は、料理の副菜として取り入れてみてはいかがでしょうか?作り置きできるので、一度にまとめて作ってしまうのがオススメですよ。
きゅうりとわかめの酢の物
栄養もちゃんとある!きゅうりは夏にこそ食べたい野菜だった!
この記事では、夏場が旬で栄養的な効果もある「きゅうり」について解説しました。ご紹介した「おすすめの食べ方」や「保存方法」もぜひ参考にしてみてくださいね。
きゅうりはサラダや漬物に加えてさっぱりと食べられるので、料理にも取り入れやすいのではないでしょうか。あっさりしたものを食べたくなる夏にぴったりな食材なので、きゅうりを食べて暑い夏を乗り越えていきましょう!