【ナスの見逃せない栄養効果】管理栄養士いちおしの調理法・保存法!ダイエットにうれしい低カロリーレシピも

夏~秋にかけて売り場に顔を出す「ナス」。水分が多い野菜のなので、栄養価は期待できない…?と思ったら大間違い!抗酸化作用のあるポリフェノール成分や、カリウム、食物繊維など、ナス特有の栄養がギュッと詰まっているんです。この記事では、ナスの栄養素・効果、食べる際の注意点、調理法を管理栄養士が教えてくれました。

この記事を書いた人
合同会社HITOOMOI

2019年1月に設立したフードコーディネーターと管理栄養士が在籍する料理研究家の会社。レシピの企画・開発から撮影、スタイリング、栄養計算、商品開発を中心に事業を行う。ミッションは「好きな人を想う手作り料理で幸せな食卓づくりを。」

もくじ

ナス(茄子)はそもそもどんな野菜?

夏野菜のひとつであるナスは、ナス属ナス科の植物、もしくはその果実のことを指します。

原産国はインドで、日本では高知県や熊本県、群馬県が主な産地。旬は夏から秋で、6〜10月ごろに花が開き、その2〜4週間後に実の収穫時期を迎えます。

主な品種には水ナス長ナス米ナスがあり、それぞれ特徴が異なるのがポイントです。

  • 水ナス…アクが少なく皮が薄いため、生で食べられるのが特長。
  • 長ナス…果実は20cmほどあり、果肉がやわらかいので焼きナスにオススメ。
  • 米ナス…アメリカの品種を改良して生まれたもので、形が大きく身がしまっているので炒め物に合わせて使うと歯応えを楽しめます。

ナスの栄養価・効果を管理栄養士が解説

ナスは野菜の中でも水分を多く含んでいる食材です。そのため、他の野菜と比較してビタミンやミネラルなどが少ないという印象を持っている方もいるかもしれません。

しかし、ナス特有の栄養素も含まれています。ナスの栄養価とそこから得られる効果についてご紹介します。

なすの栄養・効果①生活習慣病の予防に

ナスの紫色の皮には、ポリフェノールの一種であるナスニンと、シソニンが含まれるのが特徴です。

ナスニンは強い抗酸化作用を持っており、活性酸素の除去抗がん作用が期待できます。また、コレステロール値を下げる働きがあり、動脈硬化の予防につながるとされているんです。

シソニンも抗酸化作用を持っているため、老化予防に役立つといわれていますよ。

なすの栄養・効果②むくみ予防に

ナスにはカリウムが含まれていて、含有量は100g当たり220mg。同じ量のキャベツと比較すると、1.1倍含まれています。

カリウムは体内でナトリウム(塩分)とのバランスを調整する働きがあり、過剰な塩分を体の外へ排出します。一緒に余分な水分も排出してくれるので、むくみ予防に効果が期待できる栄養素です。

なすの栄養・効果③身体を冷やす働きがある

秋茄子(秋なす)は嫁に食わすな」ということわざをご存知でしょうか。

解釈はいくつかありますが、その中の一つに「身体を冷やすので食べるのはよくない」というメッセージがあります。これは、ナスに身体を冷やす働きのある栄養素が含まれているからです。

カリウムの働きの一つである利尿作用によって、余分な水分が身体から出ていくと同時に体内にこもった熱も出します。結果的に身体を冷やす効果が期待できるのです。また、カリウムは血圧を下げる効果も。血圧が下がると血流がゆっくりと流れるので体温の上昇を抑えます。

身体を冷やしてくれる効果は、夏真っ盛りの時は嬉しいですが、肌寒くなる時期は、食べる量や頻度を調整したり、温かくして食べるなど工夫すると良いでしょう。

なすの栄養・効果④整腸作用も期待できる

ナスには食物繊維が豊富であることも利点。ナス100g当たりに2.2g含まれていますが、同じ量のトマトと比べると2.2倍も多いのが特徴です。

食物繊維は消化を促したり、便のかさを増やすことで便秘改善に効果的。このような整腸作用に加えて、エネルギー量も低いので、ダイエットにも適した食材だと言えるでしょう。

ナスを冷凍したら栄養はどうなるの?

ナスは冷凍保存しても栄養価が大きく失われることはありません。

ただし、ナスは水分が多いため解凍後に水っぽさが気になるかも。解凍後は煮込みや味噌汁、炒め物などに使うと食感もカバーしやすくなります。

また、ナスを冷凍保存すると色や風味が落ちるので、生のまま冷凍保存するのではなく、焼きナスや揚げナスのように調理してから保存するのがオススメ。

ナスの栄養・成分一覧表

食品100g当たりゆで油炒め
エネルギー(kcal)221979
水分(g)93.294.085.8
たんぱく質(g)1.11.01.5
脂質(g)0.10.15.8
炭水化物(g)5.14.56.3
食物繊維(g)2.22.12.6
ナトリウム(mg)Tr1Tr
カリウム(mg)220180290
カルシウム(mg)182022
マグネシウム(mg)171621
リン(mg)302740
(mg)0.30.30.4
亜鉛(mg)0.20.20.2
β-カロテン当量(μg)10098190
レチノール活性当量
(μg)
8816
α-トコフェロール
(mg)
0.30.31.4
ビタミンK(μg)101011
ビタミンB1(mg)0.050.040.06
ビタミンB2(mg)0.050.040.07
ビタミンB6(mg)0.050.030.06
ビタミンB12(μg)(0)(0)(0)
葉酸(μg)322236
ビタミンC(mg)412
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ナスのアレルギー症状に注意

ナスを食べて体調が悪くなる場合は2種類のアレルギー症状が考えられます。

①仮性アレルゲン

本来アレルギー物質ではないのですが、稀に食物アレルギーのような反応を起こしてしまう物質が「仮性アレルゲン」。ナスには「ヒスタミン」や「アセチルコリン」といった仮性アレルゲンが含まれています。

ナスは離乳食にもできる食材ですが、はじめて赤ちゃんに食べさせる際には少量で様子を見たり、離乳食初期には皮を剥いて調理しましょう

②口腔アレルギー

「口腔アレルギー」は、野菜や果物など特定の物を食べた際に起こるアレルギー反応です。

いずれも症状は口周りの腫れや痒み、酷くなると下痢嘔吐アナフィラキシーショックなど命に関わるケースもあるので異変を感じたらすぐに病院へ行きましょう。

管理栄養士が教える!ナスの栄養価を高める調理法

ナスはどのように調理することで、栄養がしっかり摂取できるのでしょうか。その方法をいくつかご紹介していきます。

ナスは皮ごと調理して栄養価をキープ

ナスの皮部分には、ポリフェノールの一種であるナスニンなど、栄養素が集中して含まれています。そのため、ナスを調理する際は皮ごと使うのが一押しです。

普段ナスを使う際には水につけてアク抜きをすると思います。しかし、ナスニンなどの水溶性の成分は、水に漬けすぎると栄養が流れてしまうので注意が必要。ナスを切ってから調理するまでなるべく時間を空けず、栄養価が無駄に流れ出ないようにしましょう。

ナスの漬物で栄養価をさらにアップ!

ナスはぬか漬けにすると、驚くことにビタミンB1カリウムが約2倍にも増えるんです!

理由はぬか床の栄養素をナスが吸収できるから。とくに水溶性のビタミンB1は、ぬか漬けにすることで野菜自体に染み込んでいきます

ぬか漬けでさっぱり味わえるかつ、大事な栄養素をしっかり吸収できるので、食卓で何か1品追加したい時には、ナスの漬物を取り入れてみて。

ナスを油で炒めるのもオススメ

ナスは油を使って調理する方法もオススメです。

油がナスの表皮部分を覆ってくれるので、ナスニンなどの成分の流出を抑えられます。この方法であれば、ナスニンの損失が抑えられるので同時に吸収率も高まる嬉しい効果も!

ナスを家族で食べる時は、ぜひ炒め物などで使ってみてくださいね。

ナスの綺麗な紫色をキープする裏技

ナス表皮の鮮やかな紫色は、ポリフェノール系の色素成分によるもの。色が悪くなる原因は、空気に触れすぎて酸化したり、長時間煮込んで水溶性の成分が流れ出ていくことにあります。

紫色をキープして綺麗に盛り付けたい場合は、下記2つの方法を参考にしてみてください。

1つ目は調理時に油でコーティングする方法です。油で素揚げにしておいたり、油通しすることで、色と成分の損失を抑えられます。あらかじめ皮の部分に油を塗ってから加熱調理しても良いでしょう。

2つ目は酢や酸性の成分があるトマトなどと一緒に調理することです。色止め方法として、特に長時間加熱する煮物などに加えると色味をキープできます。

管理栄養士いちおし!ナスの栄養価をキープする保存方法

ナスは夏野菜なので、乾燥や寒さに弱い傾向にあり、5℃以下で保存すると「低温障害」を起こし、変色や栄養価が失われる原因に。冷蔵庫内だと温度が少し高めになっている野菜室に保存しましょう。

保存するときは、1本ずつラップで包んでおきます。さらに乾燥を防ぐため保存袋に入れるとベター。おおよそ3〜4日を保存期間の目安にして、早めに食べ切ってください。

ナスの冷凍保存方法はコチラ

HITOOMOIオリジナル!ナスを使った低カロリー・低脂質レシピ

今回は、ナスを使った簡単ダイエットレシピをご紹介します。なんと、フライパンは使わず、電子レンジ調理のみで作れるお手軽メニューです!夜ごはんにあと1品足りないな…なんてときにもオススメです。

蒸し茄子の生姜醤油和え

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ナスは食べ方の工夫ひとつで栄養をぐっとキープ!

この記事では、夏野菜であるナスの基本的な栄養素や、栄養価を逃さない調理法・保存法・注意点をご紹介しました。

焼いたり、揚げ浸しにしたり、ぬか漬けにしたり…と調理方法によって様々な食感を楽しめるナス。皮の紫部分には栄養も豊富なので、ナスが大好きな方だけではなく、今までナスをあまり食べてこなかった方にも栄養面でオススメしたい食材です。

ぜひみなさんの家庭でもナス料理を楽しんでください。

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