通年おいしく食べられる万能野菜のひとつがじゃがいも。他の野菜と比較して栄養素が少なく、「ダイエットには不向きな食べ物では?」と思われがちです。しかし、私たちの体には欠かせない栄養素がたくさん含まれているんです!今回は、じゃがいもの栄養成分、保存方法、食べる際の注意点、オススメレシピをご紹介します。
この記事を書いた人
合同会社HITOOMOI
2019年1月に設立したフードコーディネーターと管理栄養士が在籍する料理研究家の会社。レシピの企画・開発から撮影、スタイリング、栄養計算、商品開発を中心に事業を行う。ミッションは「好きな人を想う手作り料理で幸せな食卓づくりを。」
じゃがいもに含まれる栄養素を管理栄養士が徹底解説!
じゃがいもの栄養①美容・健康に欠かせないビタミンCがたっぷり!
じゃがいもにはビタミンCが豊富に含まれていて、含有量は可食部100g当たり28mg(※皮つきの場合)。同じ量で比較すると、温州みかんとほぼ同等、りんごの約5倍含まれています。
ビタミンCは、肌作りに必要不可欠なコラーゲンの生成をサポート。抗酸化作用もあり、老化予防や動脈硬化、心疾患の予防にも期待できます。
じゃがいもに含まれるビタミンCは、でんぷんに包まれているため、加熱しても壊れにくいのがメリットです。フライドポテトや煮物などにしても損失が少なく抑えられます。
じゃがいものビタミンCは、皮の近くに多く含まれています。皮の薄い新じゃがいもは、皮ごと調理して食べると、効率良くビタミンCを摂取できますよ。
じゃがいもの栄養②カリウムの力で血圧上昇を抑える
じゃがいもは、カリウムも含まれています。じゃがいも(皮つき)には、100gあたり420mg含んでおり、カリウムが多いと注目されているキウイの約2.2倍含まれています。
カリウムは人体には欠かせないミネラルのひとつ。体内でナトリウム(塩分)とのバランスを調整する働きがあり、不足すると血圧の上昇やむくみの原因になると言われています。
カリウムを摂取することで、血圧の上昇を抑え、体の余分な塩分や水分を外に出してくれるのです。
じゃがいもの栄養③食物繊維が豊富
じゃがいもは、私たちが主食とする白米よりも、食物繊維が多く含まれているのがポイント。
食物繊維は、便通をよくする、腸内の善玉菌を増やす、などの働きがあります。腸内環境を整えてくれるため、大腸をより活性化し、便秘予防・改善に役立つんです。
また、じゃがいもには「ペクチン」と呼ばれる水溶性食物繊維が含まれています。糖質の吸収を緩やかにして、食後の急激な血糖値の上昇を抑える働きもありますよ。
調理方法別!じゃがいもの栄養成分一覧表
下記一覧表では、じゃがいもの調理方法(生・蒸し・水煮・電子レンジ調理)によって、どのように栄養成分が変化するのかをまとめました。調理時の参考にしてみてくださいね。
塊茎 皮なし(100g当たり) | 生 | 蒸し | 水煮 | 電子レンジ調理 |
---|---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 70 | 81 | 74 | 83 |
水分(g) | 79.8 | 78.8 | 80.6 | 78.0 |
たんぱく質(g) | 1.8 | 1.9 | 1.7 | 1.9 |
脂質(g) | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 0.1 |
炭水化物(g) | 17.3 | 18.1 | 16.9 | 19.0 |
食物繊維総量(g) | 8.9 | 3.5 | 3.1 | 3.5 |
カリウム(mg) | 410 | 420 | 340 | 430 |
カルシウム(mg) | 4 | 5 | 4 | 4 |
マグネシウム(mg) | 19 | 24 | 16 | 20 |
リン(mg) | 47 | 38 | 32 | 47 |
鉄(mg) | 0.4 | 0.6 | 0.6 | 0.4 |
亜鉛(mg) | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.3 |
ビタミンB1(mg) | 0.09 | 0.08 | 0.07 | 0.09 |
ビタミンB2(mg) | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 |
ナイアシン当量(mg) | 1.8 | 1.3 | 1.3 | 1.7 |
ビタミンB6(mg) | 0.20 | 0.22 | 0.18 | 0.20 |
葉酸(μg) | 20 | 21 | 18 | 17 |
ビタミンC(mg) | 28 | 11 | 18 | 23 |
じゃがいものカロリーや糖質はどのくらい?
じゃがいもは野菜の中でも炭水化物が多いので、カロリーや糖質が気になるところ。ダイエット中に糖質を摂るのは避けたいところですが、本当に太る食材なのでしょうか。
じゃがいもと白米のカロリーや糖質を比較してみました。
意外や意外!じゃがいものカロリーは白飯よりも少ない!
じゃがいも(皮なし)のエネルギー量は100gあたり76kcal。それに対して、白飯は100gあたり168kcal。
意外なことに、じゃがいものエネルギー量は、なんと白飯の約半分程度なんです。じゃがいもは、同じ量のご飯を食べるよりもカロリーが低いただけでなく、ビタミンB1やB2も摂取できるうえ、満腹感も得られます。
また白米は、100gあたり35.6gの糖質が含まれているのに対し、じゃがいもの糖質含有量は8.4g。白米と比べて、じゃがいものほうが圧倒的に糖質量が少ないことがわかりますね。
さらにじゃがいもは、食物繊維も含まれているため、便秘解消効果が期待できます。「ダイエット中だから…」と気にして、ムリに我慢する必要はなさそうですね。
じゃがいもの摂取量の目安は1日1個
じゃがいもは1日どのくらいであれば食べても大丈夫なのでしょうか?
摂取する目安量は、1日に100g。これは、中サイズのじゃがいも1個分程度になります。
上手に取り入れるには、レタスやキノコなど、カロリーが低く食物繊維が豊富な料理にプラスするのがオススメ。噛む回数が増えて満腹感を得られやすく、糖質の吸収速度も緩やかにしてくれますよ。
ただし、じゃがいもは炭水化物を多く含むので、食べすぎると肥満や中性脂肪の上昇の原因にもつながります。目安量を守るように注意しましょうね。
じゃがいもを冷凍保存したら栄養価はどうなるの?
じゃがいもを冷凍保存しても、栄養価が大きく失われることはありません。冷凍すると減るといわれるビタミンCですが、じゃがいものでんぷん質に守られるため失われにくいのが特徴です。
しかし、じゃがいもを生の状態のまま冷凍すると、ブヨっとした歯触りの悪い食感になってしまいます。
冷凍する場合は、茹でる、または蒸すなど加熱してから保存しましょう。皮をむいて保存袋の上から手で潰し、なるべく平らにして冷凍保存するのがオススメ。
食べるときにしっかり加熱すれば、ホクホク食感に仕上がります。そのままコロッケやマッシュポテトなどに使えるので、時短調理にも繋がるんです。
下記記事では、じゃがいもの冷凍保存テクニックをご紹介しています。じゃがいもの冷凍保存を成功させたい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
じゃがいもの基礎知識!旬と産地を知ろう
じゃがいもは保存がきくため、通年で出荷されていますが、産地によって収穫時期が異なるのもポイント。
春から夏に出回る「新じゃがいも」は、貯蔵されず、皮が薄くてみずみずしいのが特長。とくに新じゃがいもは、ビタミンCが豊富だと言われていますよ。
出回っている約8割のじゃがいもは北海道で生産されています。ついで生産量が多いのは長崎、そして鹿児島。土壌をとくに選ばないので、さまざまな場所で作られているんです。
栄養がギュッと詰まったじゃがいもの見分け方
知って得する!おいしいじゃがいものベストな選び方をいくつかご紹介していきます。
じゃがいもを選ぶポイント①皮が薄く、芽や傷がない
収穫されたばかりの野菜は美味しく、栄養価も高くなることが多いのはご存知の方もいることでしょう。じゃがいもも同様に、収穫から日が浅いものを選びましょう。
表面の皮が薄いじゃがいもは、収穫されて日が浅いといえます。指で剥がれそうなものがベスト!ちなみに、時間が経つにつれ、皮が厚くなり剥がれにくくなります。
芽が出始めているじゃがいもは、味が落ちているためNG。ただし、芽が出そうな状態のものは甘みが増し、美味しくいただけます。
じゃがいもを選ぶポイント②ハリがあり、ふっくらと丸い形
光沢があり、表面がつるんとハリがあるじゃがいもを選びましょう。ふっくらと丸い形で、中くらいのサイズがオススメです。
大きすぎるものは、中が黒く変色していたり、スカスカな空洞状態になっていることも。また、柔らかいもの、しなびたもの、シワがあるじゃがいもは避けてくださいね。
じゃがいもを選ぶポイント③手に取ると重量感がある
同じサイズでも軽いじゃがいもは、中身が空洞になっていることがあります。実際手に取ってみて、重量感を確認してみるのも大切です。形の整った重みのあるものを選んでくださいね。
食中毒の危険性も!じゃがいもを保存・調理するときの注意点
じゃがいもを調理する際、「芽は危ないから取り除く」と言いますが、なぜでしょうか?実は、食中毒の原因になってしまうのです。その点について、詳しく解説していきます。
じゃがいもに光・傷は厳禁!冷暗所で丁寧に保存がキホン
じゃがいもは光に当たると表面が緑色になります。その際「アルカロイド」と呼ばれる、ソラニンやチャコニン(カコニン)といった天然毒素の成分が表皮の近くで作られてしまうのです。
また傷がつくと、天然毒素が増えることもあるため、傷をつけないようにすることも大切。
このソラニンやチャコニン(カコニン)を取り除かずに食べてしまうと、吐き気、嘔吐、めまいなどを引き起こします。一般的には軽症で済みますが、食中毒を起こすこともあるので注意しましょう。
じゃがいもを保存する場合は、光の当たらない風通しのよい場所で保存してください。
難しい場合は、ゆでたり蒸すなど加熱調理をした後、冷凍保存するとよいでしょう。こうすることで、じゃがいもが光に当たったり、傷がつくことを防げますよ。
じゃがいもの芽・芽の周辺はしっかり取り除こう
じゃがいもの芽にも、天然毒素の成分であるソラニンやチャコニン(カコニン)が含まれています。また、芽だけではなく、芽の周辺にも含まれているので注意が必要。
もし、じゃがいもに芽が出てしまっている場合は、芽を根元からしっかり取り除くのが大切です。こうすることで、ソラニンやチャコニン(カコニン)による食中毒を防げます。
皮はできるだけ剥いて調理するのがオススメ
じゃがいもの中の部分に比べて、皮の近くにはアルカロイドが多く含まれています。そのため、できる限り皮は厚めに剥くのがオススメです。小さく未熟なじゃがいもはアルカロイドが多いと言われているので、必ず皮を剥いてください。
「じゃがバターなどで皮も食べたい!」という方は、なるべく皮が薄く、緑色になっていないじゃがいもを選んでください。ただし一度口にして苦味を感じたら、アルカロイドが含まれている可能性があるため、食べるのをやめましょう。
皮も食べる場合は十分注意することが大切。安全に美味しく食べるためにも忘れないようにしましょうね。
管理栄養士直伝!じゃがいもの種類は料理で使い分けよう
多品種あるじゃがいもには、それぞれ違った特徴があり、適した調理法があります。ここでは、じゃがいもの品種別にオススメのレシピをご紹介します。
ポテトサラダには「男爵」
じゃがいもの代表品種である「男爵薯」は、果肉色が白く、でんぷん質が多めなのが特長。
粉質でホクホクした食感が特徴なので、ポテトサラダのほかに、マッシュポテトやコロッケに向いています。
フライドポテトには「メークイン」
男爵薯同様スーパーでよく見かける「メークイン」は、果肉色が黄白色で、デンプン質が少なめなのが特徴。
細長い形でカットしやすく、フライドポテトなど揚げたときカリッと仕上がります。粘質でしっとりした食感が特徴で、煮崩れしにくいことから、カレーやグラタンにもオススメ。
肉じゃがには「とうや」
丸い形で少し大きめ、果肉色は淡い黄色で、皮が浅く、皮むきしやすいじゃがいもが「とうや」です。
しっとり滑らかな舌触りが特徴で、煮崩れしにくいため、肉じゃがなどの煮物や、おでんなどの煮込み料理にぴったりです。
じゃがバターには「キタアカリ」
見た目は男爵薯に似ていますが、男爵よりも甘みが強く、果肉色が黄色いため、栗じゃがいもとも呼ばれています。
粉質でホクホクした食感と甘みを生かして、じゃがバターや粉ふき芋など素材を味わうシンプルな料理向きです。とても煮崩れしやすいので、皮つきのまま調理するのがオススメ。
じゃがいもを使った作り置きダイエットレシピ
今回は、じゃがいもを使った作り置きレシピをご紹介します。
マッシュしたじゃがいもを丸くして、スモークサーモンで巻いた、見た目も可愛いレシピです。おもてなしや、お祝いごとのメニューとしてもオススメです!
HITOOMOIオリジナルレシピ:スモークサーモンの手まりポテト
じゃがいもは美容と健康の強い味方!
じゃがいもは、ダイエット中に不足しやすい食物繊維や、ビタミンCが含まれている優秀な食材です。
調理する際にいくつか注意しなければならないポイントや、品種ごとの特長を押さえて、美味しくじゃがいもを食べましょう!